Crescent Moon Ⅰ【完】若頭ハルと私の物語

第2章 /壊れた眼鏡




高層マンションの30階。



エレベーターを降りると無機質な廊下が左右に分かれている。



ここにある部屋数は二つ。一つはもちろん私の部屋で、もう一つは私が引っ越してきた時から空き部屋になっている。



だからこの階に住んでいるのは私とママの二人だけ。



ICカードをかざして重いスティールのドアを開ける。物音一つ聞こえない部屋に、今日もママの姿はない。



スリッパに履き替え、パタパタと廊下を歩き、ぼんやりとスタンドの明りだけが点いているリビングへ行く。



部屋の灯りを点け、鞄をダイニングテーブルの椅子に置くと、眼鏡を外した。



冷蔵庫から冷凍のパスタを取り出し、レンジにかける。



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