Crescent Moon Ⅲ【完】若頭ハルと私の物語

第7章 /依存




落ち着いた空間に微かな音楽の流れる一室。木の香り漂う和モダンなインテリアを配した料亭に、ひと組の男女が京料理の並ぶテーブルを挟んで座っていた。



一見、セレブな女性と年下のツバメといった風に見えなくもない、どこか怪しげな雰囲気があった。



「それにしても、シルバーコーポレーションの専務さんがこんなにお若い方だなんて、初めてお会いした時には驚きましたわ」



アップに結い上げた柔らかな髪、うなじに零れるおくれ毛、白い肌。歳の頃は30代後半といったところだろうか。

つんと鼻筋の通った顔立ちは勝気な印象を与え、伏せ目がちな目元には大人の色香を漂わせている。



「僕のような若輩者ではご心配でしょうが、是非、一瀬さんには足りないところを補って頂けると嬉しいです」



わざわざ『僕』と自分を指したのには訳がある。

恋多き女と噂される一瀬 怜の恋愛遍歴。自らのキャリアに絶対的な自信があり、TV界に確固たる地位を持つ彼女は、まだ名前も売れていないような若者を育て、売り出していく事に悦びを見出している。



そう、特に、若くて美しい才能ある男に。

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