由弦くんは狙われている【完】

第六章

身体を奪われていても夢は見るみたいだ。
とてつもなく嫌な夢だ。
いや、過去にあった出来事の再現かもしれない。

おれと優之心は小学生で、休み時間に校庭で走り回っている。
サッカーはおれの得意分野だった。

その頃はおれも普通に女子が好きで、もちろんその中でも気になる子がいた。

シュートを決めて『どうだ!』って言わんばかりにその子を見た。
だけど、全然おれのことなんて見ていなかった。

転んだらしい優之心のところに駆け寄っていた。

どう見てもおれの方がカッコいいじゃんかよ。
シュートしたんだしさ。
子どもなおれはそう思った。 

校舎内に連れ添って歩いて行く二人をボンヤリと眺めることしかできなかった。

そのあとも何回かシュートを決めた。
女子の歓声も浴びた。
でも、おれの心は満たされなかった。

その日の放課後、その子は泣いていた。
複数の女子が優之心を責めている。
あいつはおれの好きな子をフッタらしい。

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