由弦くんは狙われている【完】

第二章

まるるはキッチンに立っている。
とり憑かれてから毎日、食事を作ってもらっている。
味覚はないのに空腹感だけはあるのな。

腹がキュルルと鳴る。
ふふ、と笑われた。

(待っていてくださいね。今、急いで作りますから)

(何でおれ発信の腹の音って決めつけるわけ?おまえからかもしれねぇじゃんか)

(でも、由弦さんの身体ですし)

(主導権を握っているのはおまえだろ?)

(そんな恥ずかしがらなくても。わたしは気にしませんよ)

(そうじゃなくて、おれは決めつけられるのが嫌なだけだ)

(じゃあ、ジャンケンで決めますか?)

(いや、そこまでする必要はねぇよ)

(それなら、やっぱり由弦さんのお腹の音ってことでいいですね?)

(だから何でそうなるんだよ!おまえこそ認めろ!)

うちは共働きだ。
テキトーに金を置いていくので、いつもはコンビニ弁当で済ましていた。

まるるに出会う…じゃなくて、憑かれるまではそれが普通だった。
こんなどうでもいいようなやり取りもなかった。

不思議な感じだ。
でもよ?
言い合っているけど、悪い気はしないんだよな。

それどころか、楽しいとすら感じ始めている。
末期かもしんないな。

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