Stay with me 前編【完】

Chapter5 /笑顔の理由








一通り仕事の話が終わった園長室。

帰るために腰を上げた慎也君と私は自然と賑やかな園庭に目を向けた。その先に映るのは楽しそうに遊ぶ子供達と沙良ちゃんの姿。


「そういえば……」


物思いに耽りながら園庭で遊ぶ子供達を見つめていると、不意に慎也君が呟いた。


「花梨でしたっけ?あの一番小さい子……」

「えぇ。そうだけど……何?どうかしたの?」

「あっいや……随分笑うようになったなぁって」

「……そうね」


両親を事故で亡くし、ここに来たばかりの花梨ちゃんは当たり前だけど、塞ぎがちで暗い表情だった。

だけど、慎也君ったら急にどうしたのだろう?


「ほら。俺、前に泣かれたんですよ…… 」


あぁ、そうか……

その言葉に数ヶ月前の出来事を思い出す。

そういえば、慎也君はその頃の花梨ちゃんと遊んであげようとして泣かれてしまったんだった。慎也君なりにあの時のことを気にしていたのね。


「でも、今はいい顔で笑うようになったでしょ?」

「そうですね…」


窓の向こうで、子供達に優しい笑顔を向ける沙良ちゃんにふと目を向けると、慎也君も同じよう彼女の姿を視線で追った。




「……沙良ちゃんのお陰かな」


そう……きっと、ここまで花梨ちゃんが立ち直れたのは沙良ちゃんのお陰だ。

塞ぎがちな花梨ちゃんに、彼女は園に来る度に少しでも心を開いてくれるようにと、私達以上に懸命に語りかけ接してくれた。

一生懸命なあの子に私達はいつも助けられている。








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