Stay with me 前編【完】

Chapter7 /戸惑い




その日、降り続いた雨はやっばり夕方になっても止むことはなくて………アルバイトへ向かう時間。傘をさして桜の葉園の玄関を出た。


今日もまた九条さんが迎えに来るのだろうか。


たしか2日前。九条さんはトラブルが起きるだろうから、今日、玲司さんは会いに来れないと言っていた。そして、代わりに自分が迎えに来ると。


「はぁ……どうしよう」


私の為にわざわざ足を運んでくれるのだから感謝しなくちゃと思うのに、気が付けばため息が出ていた。

元々まともに会話が出来る関係ではなかったけれど、昨日のことがあったから今は余計に気まずくて。

……夕暮れの空にオレンジの光は見えない。灰色の雲に覆われた空は薄暗くて気分をより一層重くさせた。






「……え?」


でも、重い足取りで向かった先に九条さんはいなかった。いつもの待ち合わせ場所に待っていたのは黒いミニバンではなく見慣れたセダン。


「よっ沙良ちゃん!さぁどうぞ、乗って?」


ライトブラウンの髪を耳にかけ、垂れ目がちな目元に爽やかな笑みを浮かべた慎也さんが運転席で待っていた。


「慎也さん?えっどうして?」

「あれ?俺じゃダメだった?」

「えっ?い、いえっ、そんなことないです…有難いです。ただ、九条さんが来るって聞いていたので、少し驚いてしまって……」


慌てて謝る私に慎也さんは可笑しそうに笑う。どうやら揶揄われたみたいだ。


「あはは…ごめんごめん。冗談だよ。今日は急遽圭は来れなくなったから」

「……そうなんですか」

「うん。だから今日は俺が送るね」

「あっ……はい。ありがとうございます」

「いーえ」


お礼を言った私に慎也さんもいつものように優しく笑ってくれる。そうか……今日、九条さんは今来れないのか。慎也さんの笑顔とそのことに少しだけほっとした。









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