Stay with me 前編【完】

Chapter8 /後悔




駅前から歩いて15分。

喧騒から少し離れた穏やかな通り。煉瓦造りの建物と彩り鮮やかな草花と店先に置かれたボードに書かれた『fiore』文字。

久しぶりに訪れた『fiore』は今日も可愛らしい外観で私達を迎えてくれた。


「……ここ?可愛い〜!!」


目を輝かせて喜ぶ由香ちゃんに頷き店の扉を開く。

カラン……と響く心地よい呼び鈴と共に中に足を踏み入れれば、やっぱりそこには以前と変わらず美味しそうなケーキが並んでいる。




「いらっしゃ〜い!」


中に入ると聞こえるお店の外観に相応しくない野太い声。カウンター越しに微笑んだのは厳つい体格にピンクのフリルのエプロンを着けた『源ちゃん』。


「こんにちは」

「あら?あらあら……?
きゃー!!やだっ、沙良ちゃんじゃないっ!」

「お久しぶりです……」


私に気付いた源ちゃんはキャピキャピと嬉しそうに驚きの声を上げる。それに若干気圧されながら、挨拶を交わしていると……由香ちゃんが隣で固まっていた。


「由香ちゃん?」


呆気にとられたように微動だにしない由香ちゃんは声を掛けても言葉を発しない。かなり驚いているみたい。

……まあ、分からなくもないけど。

それくらい源ちゃんとこのお店のギャップは衝撃的で、私も初めてここに来た時はかなり驚いたっけ……。


「その子は沙良ちゃんの友達?」


そう言った源ちゃんはじっくり由香ちゃんを見て値踏みするように見つめる。それに由香ちゃんは視線を彷徨わせ、困惑気味に私に助けを求める。


「えっと、はい…彼女は私の友人です」

「あっ私…ゆ、由香っていいます」

「ふーん、そう……まぁ、沙良ちゃんの友達ならいいわ!じゃあ好きな所掛けてゆっくりしてってね」


改めて由香ちゃんを紹介すると、源ちゃんは値踏みするような視線を止めて、笑顔でそう言った。








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