Stay with me 前編【完】

Chapter8 /涙







都心から離れて車で1時間。

寂れているわけではないけど、特別栄えているわけでもない小さな町。何処にでもあるような適度の潤いで満たされるこの町は数カ月前まで暮らしていた場所。

毎日通った駅前の交差点も交通量の少ない並木道も見慣れたものだけれど、胸の中を占めるのは懐かしさよりもやるせない想い。

二度と戻ることはないと思っていたのに……

車窓越しに見える街並みは少し寂しくて。私はただそれを流れ行く景色として見つめていた。









あれからすぐ………

玲司さんが命令を下してから1時間もしないうちに、美希は見つかった。

やっぱりまだ幼いあの子が行けるような場所は限られていて。発見された場所はは自宅からそう遠くない、いつか行ったことがある公園だった。

美希と出掛けたのなんて数えるくらしかないのに。

どうやってそこまで辿り着いたのか分からないけど、目立った怪我もないとの連絡に心底ホッとした。





「そろそろ着きます」


物思いに耽りながら安堵していれば、目的の場所はもうすぐで、前方の運転席から将生さんが到着を告げる。


「あっは、はい…!」


それに慌てて返事をすると、昨日振りに会う穏やかな表情をした将生さんとバックミラー越しに視線が重なる。

普段寡黙な将生さんが昨日のことについて何かを言うことは無い。

最初は玲司さんと共に車に乗り込んだ私を見て、かなり驚いていたけどそれは一瞬で。すぐにいつも表情に戻すと、私と玲司さんの様子を静かに見守ってくれた。







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