Stay with me 前編【完】

Chapter10 /優しい嘘







嫌だ。やめて。

怖いよ。

助けて、助けて……



黒く塗りつぶされた思考の中で、必死に助けを請う少女の声が聞こえた。

繰り返し響く声は悲痛に満ちていて。少女の叫びに胸が引き裂かれるように痛かった。



少女を組み敷く男とそれを囲む複数の影。


もうやめてあげて。

これ以上あの子を苦しめないで。


そう叫ぶのに、私の声は彼女を苦しめる存在には届かない。

黒い影に覆われた悪意が心を塗り潰していく。

苦しむ少女の絶望に共鳴して、自分の心も絶望に飲み込まれていった。




あぁ。そうだ。そうだった……

無駄なんだ。


「助けて」


その言葉には何の意味もない。

何度も何度も叫んだのに、その言葉で救われたことなんて一度もなかったんだと……

心の中にいるもう一人の自分の声が聞こえた。





容赦ない暴力。無遠慮に肌を弄る不快な感触。下賤な笑みと眩しく光るフラッシュの光。

これは誰の記憶?


誰の……











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