Stay with me 前編【完】

Chapter2 /本質








暗闇に染まった空と騒がしい人の声。

都内有数の歓楽街を抱えたこの街は今日も行き交う人の波で溢れている。



「お疲れさまでした!」


時刻は21時半。

『sole』での仕事を終え、帰りの挨拶を佳代子さん達に告げて、いつものように裏口の扉を開ける。

店を出てすぐの、目と鼻の先。いつもの定位置につけてあるその車は、最近では見慣れたものになりつつある。

だけど、何故かその車の種類は毎回同じではなくて、黒塗りの高級車は助けてもらったあの日の夜に見ただけだった。

今日の車の色はグレー。

後部座席の窓が下がり、見知った顔を見つければ、直ぐに掛け寄った。


「玲司さん。こんばんは」

「あぁ」


中から扉を開けてくれた玲司さんに促され、いつものように車の中へ乗り込む。



「沙良ちゃんお疲れさま」


すると、前方からは数日ぶりに聞く明るい声が響き、助手席を見れば、労いの言葉を掛けてくれる瀬戸さんの姿があった。


「あっ…今日は瀬戸さんもいらっしゃったんですか?」

「うん。来ちゃった」


にっこり笑う瀬戸さんに同じように笑みを返す。


あれから数週間……

約束を交わしたあの日以来、アルバイトが終わると玲司さんはこうして毎回迎えに来てくれた。

アルバイトを週5日しているから、私達は僅かな時間だったけれど、ほぼ毎日のように会っていた。





  • しおりをはさむ
  • 3348
  • 1426
/ 551ページ
このページを編集する