Stay with me 後編

Chapter14 /悪意の連鎖




憂鬱さを抱えた朝に相応しい淀んだ空。どんよりとした分厚い雲がさらに心に影を落とす。

一歩外に踏み出すだけで晒される冬の冷たい風に身体が震えた。

今日1日、平和に過ごせますように……

ギュッと瞳を閉じ、心の中で願掛けをして停車してある迎えの車まで走った。




「おはようございます」


園の前に停めてある車。某有名メーカーの黒のミニバンには身に覚えがあった。

後部座席を開ければ……


「……はよう」


運転席には眠そうに携帯弄る九条さんがいた。その様子に思わず笑みを零してしまう。


「……何?」


急に笑い出した私を怪訝そうに睨む九条さん。でも、不思議と全然怖くない。前はあんなに怖かったのに。


「何でもないです。ただ……挨拶を返してくれたのが嬉しくて」


前は挨拶しても返事が返ってくる事なんてなかったし、目すら合うこともなかった。


「……何それ。馬鹿じゃないの?」


でも今はちゃんと目を見て話してくれるし、少しだけど笑顔も見せてくれる。

悪態をつきながらも照れくさそうに笑う九条さんが可笑しくて、抱えていた緊張が和らいでいく。少しの会話を交わしながら、学校へ向かった。





「そういえば、学校はどうなの?」

「…え、学校ですか?」

「うん。上手くやれてんの?」


ぼんやりと窓の外を見つめていると、突然九条さんが話しを振ってきた。


「えっと、はい……楽しく過ごせています」


珍しい……

玲司さんの命令で送迎して貰うことは今まで何度もあったけど、九条さんがこんな風に話しかけくることは殆どない。

しかも、内容が私の学校の件だから余計に珍しい。


「ふーん」


だけど、九条さんは自分で質問をしたにも関わらず素っ気なく相槌を打つだけ。もう興味を失くしたのか、後ろを振り向くことすらなく運転を続けている。

何だったんだろう?

いつもは滅多に自分から話し掛けないのに……気まぐれな九条さんの行動がよく分からなかった。







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