Stay with me 後編

Chapter17 /欠けた心







新宿に向かって国道を走る一台の車。

赤信号によって停止したメルセデスは威圧的で、スモークガラスに覆われた黒塗りの車は、信号待ちをしている隣の車を萎縮させた。



中を窺うことの出来ない車内は今日も静かだ。

寡黙に適度なスピードを保って運転をする将生と腕を組み、窓の外に目を向ける玲司。

静か過ぎるこの空間に飽きて、無駄話を振るのはいつだって俺の役目だった。

だが……


「……玲司さん。すいません。また一条麗華がこちらに向かってるようです」


その静寂を破ったのは、無機質な携帯の着信音と将生からのその言葉だった。




「………」


重い沈黙に胃が痛くなる。

殺気立った空気が後ろに充満して、とてもじゃないが後ろを振り返れない。

一条麗華。

その名前に後ろなんか見なくても、綺麗過ぎる玲司の顔に眉間に皺が寄ったのが分かった。


………寒い。

東京といえど季節は12月。今日の最低気温は5度を切っているらしいから寒いのは当たり前だ。

けど、遠慮がちに将生から告げられたその言葉に暖房を効かせているはずの車内は外なんかよりもぐっと気温が下がった気がした。







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