Stay with me 後編

Chapter1.8 /彼女だけの笑顔





国道を抜け、fioreフィオーレに着く手前。

穏やかな空気が流れる車内に携帯の電子音が響く。


「あ、源ちゃんからだ。何だろ?」


運転しながら、器用に携帯をタップする慎也さん。


「はいは〜い。どうしたの、源ちゃん?」


いつもと変わらない緩い口調で電話に出ると、ちょうど車は赤信号にぶつかった。


「……え?あー…、そうなんだ。うーん。分かった」


慎也さんと源ちゃんの会話になんか興味がないのか、玲司さんは私に視線を向けたまま2人の会話には見向きもしない。

これから向かう場所だし、慎也さんの声がワントーン下がったから、何があったんじゃないかと私としては凄く気になる。

じっと運転席を見つめていれば、会話を止めた慎也さんが後ろを振り返った。


「ごめん。沙良ちゃん…源ちゃんから伝言。今、fioreに黒影の奴ら来てるらしい」

「黒影の人達って、えっと…桐谷先輩とか菜乃花ちゃん達ですか?」

「うん。あと、沙良ちゃんの友達の千尋ちゃんも」


そういえば、菜乃花ちゃんも源ちゃんの作る『fiore』のケーキが大好きだと言っていたことを思い出す。

そっか。今は千尋もみんなと一緒なんだ。

どうしよう。結局さっきは菜乃花ちゃんに謝れなかったから、今行けば謝れるチャンスかもしれない。

なんて……色々と考え混んでいたら。





「どうする? あいつら追い出す?」


慎也さんは爽やかな笑顔でとんでもないことを言い出した。


「…えっ? やっ、あのっ…??」


お、追い出すって……なぜ、そんな??


「一応さ、千尋ちゃんもいるから訊いてみたんだけど……、でもやっぱり、あいつらいると煩わしいよね。待ってて。今、源ちゃんに言っとくから」


戸惑って、何も言えない間にとんでもない方向に話が進んでしまった。

ま、待って…!!







0
  • しおりをはさむ
  • 7485
  • 1041
/ 510ページ
このページを編集する