Stay with me 後編

Chapter11 /高校




新たな始まりを告げる朝。

心地よい日差しと雲ひとつない青空は、今日から始まる新しい生活を後押ししてくれるかのようによく晴れていた。


期待と不安。

一度は諦めた学業への道。

けれど、今日……私はまたその門をくぐる。


桜の葉園から都内中心地に向かって進む車内。車窓を流れる見慣れない風景を眺めながら、これからの未来に想いを馳せた。





「……沙良?」


緊張を抱えて窓の外を眺めていた私に、誰よりも安心をくれる優しい声が掛かる。


「玲司さん…」


振り向けば柔らかい表情を浮かべて、隣に座る玲司さんが私を見つめていた。


「…どうした?緊張してるのか?」

「…やっ、えっと、その……」

「………」


ずっと、私の様子を気にしてくれたのだろう……

きっと、心配してくれている。玲司さんは、いつも私の些細な心の変化に気付いてくれるから。


今朝も……桜の葉園の玄関の門を開ければ私の為にフルスモークの掛かった乗用車が用意されていた。

忙しいはずなのに、今日は初登校の日だからと時間を作ってくれたみたいで………「一緒に行こう」と言ってくれて。

傍でそれを見ていた涼子先生は若干呆れて……ううん。苦笑いを零していたけれど。





「はい…少しだけ……」


数分前のことを思い出しつつ、つい心の内を晒してしまった。玲司さんの透き通った灰色の瞳に見つめられると、いつも強がることを忘れてしまう。


「そうか……」


静かに響く艶のある甘い声。

玲司さんは正直に頷いた私の身体を抱き寄せると、額にそっと唇を寄せた。








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