Stay with me 後編

Chapter12 /黒影




着崩した制服に明るい髪色。
遅刻、早退、サボりは当たり前。

自分を含め殆どの生徒はその枠組みに入っていて、この学校の生徒はお世辞にも素行が良いとは言えない。

廊下を歩けば、そんな奴らの不躾な視線に晒される。

全ての視線を無視し、煩い朝の喧騒を掻き分けて自分の教室へ向かった。




本校舎、2階。2ーA。

授業開始ギリギリに来る奴ばっかりの中、教室の扉を開けば、今日も変わらず真面目に授業の準備をしている1人の生徒がいる。


「おはよう、沙良……」


窓側後ろから2番目。姿勢正しく目の前に座る沙良にそう声を掛ければ、


「あっ…おはよう。千尋」


不良ばかりが集うこの場所には全くそぐわない、可憐で眩しい笑顔を返された。


‘’緑川沙良‘’

高校生活2年目の半分を過ぎた頃。漸くあたしにも菜乃花や黒影のみんな以外に‘’ 友達 ‘’が出来た。

って、高2にもなって今更そんなことで、内心喜んでいるあたしは小学生みたいで恥ずかしい。

でも……


「間に合ったね。今日はちゃんと起きれたの?」

「うん、なんとか……」


クラスメイトとこんな風に名前で呼び合って、遅刻することなく真面目に通う自分も悪くないんじゃないかって思える。

教室の中で、こんなやり取りをまた誰かと交わせるなんて思ってなかったから。あんなに面倒だった学校が、今は少しだけ楽しくて。


「そっか。良かったね…」


寝坊の多い私を咎めることなく、心配してくれる沙良。

優しい沙良の笑顔に迎えられて、今日も1日が始まった。










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