藍の華【完】

6. こぼれ落ちた涙




───今から繁華街に行ったら、匡に会えるだろうか。



そんな考えがあたしの中で生まれた。




もう何がなんだか分からなくなるほど、頭の中が混乱して、冷静な判断ができなくなってくる。




そんなあたしはほぼ無意識に繁華街に足を運ばせていた。




会える、なんていう確信は無かったけれど、ただひたすらに匡に会いたいって気持ちが強くて……。




………こんな時間に、こんな所を歩いてたら匡は怒るかな?




うん、怒るだろうね。




でもきっと優しいから、面倒臭そうにしながらも、なんだかんだ話を聞いてくれる。




「…………匡」




思わず名前を呼んでしまうなんて、今のあたしってそうとう頭やられてる。




この時間の繁華街にはまだ人は結構多く行き交っていて、あたしは一人、人の流れに逆らうようにぼんやりと歩いていた。




目の前にいる人たちが、一人、また一人とあたしを避け、視界がその分ずつ開けていく。




そんな中、ある一人の女の人がまるでスローモーションようにあたしを避けていったその隙間から、




───あたしが今一番会いたいと思っていた。





いつものようにポケットに手を突っ込んで、飄々と歩くあのいけ好かない匡がこっちに向かって歩いてきているのが見えた。



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