藍の華【完】

14. あっという間に過ぎる時間



あれから匡は突然のことに驚いて固まってしまったあたしを、満足げに笑っては頭を撫でてきた。


あたしだってキスは初めてなんかじゃないけれど、相手が匡だから、戸惑うのは当たり前。


匡はもしかしたら、軽い気持ちでこんなことをするのかもしれない。


当の本人はしれっとした顔であたしを見てくるし、なんとも思ってないのかな。


「…じゃあ、先戻ってっから」


と、普通に倉庫に戻っていく匡を目で追って、中に入ったのを確認した瞬間、あたしはその場にしゃがみこんだ。


そっと自分の唇に触れてみる。


まだドクン、ドクンと鳴りやまない心臓の音。


全身が熱を帯びていて、ぼんやりとしてしまう。


「…ふざけんじゃないっての」


ポツリとこぼれたあたしの言葉は、この広大な夜空の中に溶け入っては消えてゆくようだった。


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