藍の華【完】

16. 近づく闇




「あー、だからなんでそうなるのよ!」



あれから暫くたって、あたしは何故か天龍の溜まり場で恭子に数学を教えていた。



「だって分かんねえもんは分かんねえんだもん」



眉間にシワを寄せて、ガジガジと癖一つないストレートの金髪を掻く恭子。


分かんねえもんは分かんねえって……、これは足し算すればいいだけなのに逆に何で分からないのか知りたいくらいで。



遅刻ばっかしてて、ろくに授業出てないからこうなるのよ。


……と言いつつあたしも授業中はほぼ寝てるから、人のことは言えないけれど。



「あんたこんな初歩的な問題も解けないのに、よく今まで生きて来れたよね。尊敬する」


「うわー、今の地味に傷ついたー。藍華ドライすぎるー」



ヒーンと泣いた真似をしてながら、参考書と睨めっこする恭子は、どうやら次赤点取ったら単位が本当にヤバイらしい。



「ほら、また同じことやってる」


「なに!!……あー、何でこんなバカなんだよー」



あぁぁー!と奇声を発して、机にうつ伏せになる恭子。


「自分で言って、ショック受けてんじゃないわよ」


「もーやだ!もーやだ!もーやだ!」


バタバタと足を動かして騒ぎだす恭子を見て、あたしはガキの世話をしてる気持ちになってきたそんな時。


「えー、何してんのー?勉強ー?」


あたし達の中に割り込む声が聞こえて後ろを振り返ると、そこにはアッシュブラウンの髪をいつものように一つに括っているのが象徴的な聖夜がいた。



「恭子、次赤点取ったらマジでヤバいんだって」


「恭子が?へぇ、なるほどな」



よいしょ、と言ってあたし達の近くに座ってくる聖夜。


…前から思ってたんだけど、なんで聖夜は恭子だけちゃん付けじゃないんだ?


1年の時にそれほど仲が良かったってこと?


でもまぁ、どっちにしろあたしが首を突っ込む必要もないか……。



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