藍の華【完】

22. 終わらない夜




「いい出来じゃねぇの」



匡たちと会わなくなってからどのぐらい時間が経ったのか、しばらくすると九条はあたしに生け花や茶道、書道、あらゆるものを習わせはじめた。



教えるのも、もちろん九条。



父の補佐をするくらいであるこいつは、だいたいのことは何でもできる。



何をするにも2人きり。



あたしはその場からいつだって逃げ出したいくらいなのに、こいつはいつもうっとりとあたしを見つめてくる。



「藍華は俺に似合う完璧な女にならねぇとなぁ?」



毎回そう言ってくる九条に、何回吐き気を催したんだろう。



真っ赤な瞳、不気味なくらいに整った顔、筋肉質な体。



あたしはこの全てが大嫌いだ。



「そろそろ休憩するか」



あたしが睨みつけていると、九条はそう言って近づいてくる。



濁った目を向けてくるこいつは、何を思ったのかあたしの方に手を伸ばす。



「触らないで!」



それをパシッと音を立てて払うあたしに、ニヤリと笑いかけてくる九条は、頭が本当に可笑しいんじゃないかって思ってしまうくらいで。



「お前はいつもそうやって逃げるよなぁ?」



ククッと笑って、近くにあるソファーにドサッと腰を下ろすこいつ。



「…俺はお前の親父に左遷されてから、お前のこと、結構探し回ったんだぜ?」




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