藍の華【完】

26. 始まりの鐘



朝。


眠い目をこすって起きるといつものように聞こえる小鳥のさえずり。


外の世界はなんて平穏に日々が過ぎていくんだろうと、そう思えてならなかった。



あれから悠斗は何も言わずに自分の家に帰ってしまった。



結局、あたしには何の力もなかったんだ。



大切な人の一人も笑顔を守れない。



「着替えよ…」



でも、いつまでもそればかり考えていても拉致があかない。


あたしはもう別の世界で生きていくと決めたんだ。


と、そう思ってワイシャツとスカート、ブレザーを着て、靴下を履いた。



それなりのメイクもして、準備ができた、と思ったその時、あたしはあることに気づいた。



時間はAM7時30分。



いつもこのくらいになると九条が朝食ができたことを知らせるために、あたしの部屋にくる時間。



それなのにあいつの姿はない。



不思議に思って部屋の外を見て回ったけれど、何処にもあいつはいなかった。


…何かがおかしい。


昨日といい、今日といい、九条が留守をするなんて。

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