藍の華【完】

27. 家族と愛と



「あー、クソ、やっぱ痛え」



そう言うのは脇腹をまた抑えている悠斗。



同時に右肩にドシッと重みを感じて、悠斗があたしに寄りかかっていることが分かった。



「…あ??」



するとどういうわけか機嫌を損ねるのは匡。



なになに、何なのよ。



藍華、看病して、と体重を乗せてくる悠斗と、チッと舌打ちしかしない匡を交互に見合わせる。



「悠斗ー、そろそろ行くぞー?」




困っていた時、そんな催促をしたのは慶介で、あたしはホッと胸を撫で下ろした。



これでこの面倒くさい状況から解放される。



「…チッ、ああ、今行く」



しょうがねえ、と言ってあたしから離れる悠斗は慶介のいる方へ歩いてゆく。



と、途中で何故かまたこっちを振り返って立ち止まる悠斗。



「…負けねえから」



それだけ言って倉庫からいなくなってしまった悠斗に、あたしは疑問しか浮かばなかった。



「…意味分かんな」



ポツリとそう呟いて匡のことを見ると、彼は悠斗がいなくなった方を真っ直ぐに見ていて。



…匡には意味が通じたっていうの?


あんたたちもしかしたら相当相性いい?



あんまり想像できないけれど、あたしはそんなことしか考えられなかった。



「…譲る気は更々ねえよ」



フッと笑ってあたしの肩を抱き寄せる匡。



あーもう、こういうことでいちいち心臓がバクバク暴れ出すのはやめてほしいと思う。



てか譲るって何をよ。



久々の平穏で、もういろいろヤバいんですけど?







「どうする?藍華ちゃんも今からウチの倉庫に来る?」



琥珀が引いたのを確認して、天龍もこの場から引いた方がいいと判断した聖夜が言ったのはそんなこと。



また、天龍の倉庫にいられるって、そう思うと胸が弾むのは本当にそこが大好きな証拠。




断る理由がないじゃないの、と思って口を開こうとした時、




「…すまない、今日は藍華をウチに連れて帰ってもいいか?まだ話し足りていないことがあるんだ」



タン、タン、タン、と階段を下りながら口を開いたのはあたしの父だった。



子どもの頃、他の子たちをあれほど羨ましがっていたような場面。



幼いあたしは親のお迎えってやつを、されたことがなかったから、どうしようもなく嬉しかったんだ。



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