藍の華【完】





囁かれた匡の声は、あたしの心を一瞬で掴んだんだ。



ただでさえバクバクいっている心臓が、これでもかというくらいに暴れ出す。


ていうか、さっきはクラスの女子にあんな態度とってたのにあたしの名前知ってたんだ…。


驚きやら何やらが混じりあって、ついには匡の顔を見ることができないくらいになってしまった。




そんなあたしを見た匡は、



「……じゃあな。」



と、あたしの頭を撫でると、ズボンのポケットに手を突っ込んで、飄々と教室から出て行ってしまった。



………ほんと、なに……。



この一瞬であたしの寿命、絶対縮んだでしょ。



匡が去ったあと、なんだか膝の力が抜けてしゃがみ込んでしまった。



だめ、あいつだけは苦手だ。



…あたしがこんなに振り回されるなんて。



それからしばらく、動揺が冷めるまで立ち上がることはできなかった。










────今思えばこの時、あたしはもう既に匡にハマってしまっていたのかもしれない。



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