ホ テ ル【完】

哀愁のハートブレイク





──…私はこうすることでしか昴瑠を感じることはできない。

しかもいつ壊れるかなんて分からない。

全くもっての不安定さに私はビクビク怯えていた。言ってみれば、私なんて栞さんの相手をしないときのただの暇潰しにすぎないことに、レオーネを出て家に着いた頃になって実感する。

辛うじて繋ぎ止めているに等しい。





──…五万円。

こんなの、要らない。




それは今回の代金だ。昴瑠はまだ私がエンコーを続けていると思っている。無理もない。こうでもしなきゃ昴瑠と会うことが出来なくなってしまうんじゃないか、と私が都合のいい嘘をついたのだから。

"エンコーをやっている事実を黙っておくかわりに自分の相手をしろ"、その形式だけでも貫いておきたかったのは私だ。

やめたって言ったら、もうこんなことする必要なくなっちゃう。そんなの嫌で……。でも、





なんで好きな人からお金貰わなきゃいけないんだろう。
普通に、会いたい……。


お金なんていい。

──昴瑠の心が、欲しい。





無造作に渡された諭吉五枚。

私の心はバリンバリンに壊れるかと思った。でも、ちゃんと前みたいに貰わなきゃ。普通を装って軽い女を演じなきゃ。

──贅沢なんて言っていられないんだ。





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