ホ テ ル【完】

レオーネ三〇一号室の恋











「おおー…来たか。まァ、とりあえず座れよ」







二週間後の平日。放課後。

私は制服姿のままで、あの例のバーの奥へと足を伸ばしていた。扉を開けるなりお決まりの呑気な態度で迎え入れてくれるのは呼び出した張本人である恒河さんだった。

かったるそうに煙草を咥え、なにやらタブレットをいじっている恒河さんは作業中だったらしく、それを乱雑に放り投げると隣の席をポンポンと示してきた。





「っていいねえ。制服じゃねえか」

「……セクハラお兄さん、訴えますよ」

「怖え怖え。そういうところはガキらしくねえのな」

「もういいの。ガキとかガキじゃないとか、気にしないことにした。私は私らしくいたい」

「へえー、その様子じゃ、うまくいったみてえだな…」

「え?」

「あ?」

「なに」

「なんでもねーよ。そうだ、茶でも飲むか?」





フゥ、吐き出された紫煙はやけにすっきりと消えていった。いや、もともと消え方は以前と変わってないのかも。

私のフィルターがそう映しただけだとしても、今はなんだっていい。心が晴れ晴れとしていたからだ。





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