ホ テ ル【完】











恒河さんはなにかと茶を進めてくる。

テーブルの上には似合わなすぎる急須が置いてあって、結構渋いものがお好きなんだな…笑っちゃいそうになる。






「あのさ、」

「昴瑠の野郎なら、退屈な病室生活にうんざりしてるってよ」




しかし、そんなことまで恒河さんにはお見通しだったらしい。

私と視線を合わさないまま、煙を吐き出している恒河さんは呆れたように微笑していた。





「全治四週間、でしたっけ」

「ああ。あんなタフな顔して、相当奥までぶっ刺されてたらしい。内臓も一部損傷してたみてーだし、よくあんなんで立って歩けてたもんよ。おお痛え痛え」

「心配の"し"の字もない」

「あー…してるしてるしてる。急所外れて良かったって思ってるよー。けど、あいつもまァ無茶なんか、しやがって」










──…あれから、昴瑠と栞さんは病院に運ばれて手術を受けた。

私は一晩中眠ることなんかできなくて、術後もずっと昴瑠のベッドに寄り添う形で付きっ切りになっていた。






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