ホ テ ル【完】

SS /俺だけのカンナ











──…季節は飛んで五月下旬。

衣替えがもうそろそろってこの時期は、初夏かと思ってしまうほどの季節外れの暑さに襲われることがしばしばある。

お天気お姉さんも言っていたが、今日は最高気温が七月下旬並みまで上がるのだそうだ。しかも朝から猛暑日のようだった。




ちょっと前まで過ごしやすい陽気だったから尚更堪えるものがある。

タンスの奥に眠っていた夏用の半袖シャツを引っ張り出し、鬱陶しい黒髪を後ろで一つに括るほど、世界が生温く感じた。


しかも学校に着いたら着いたで災難だった。はじめに言うが、有数の進学校であることもあり、勉強に支障がないようにと、夏季には校舎内冷房完備されている。

だけど今日に限ってはシステム不良だかなんだかで全く機能していなかった。そんな中で一日を過ごした。

生憎暑がりで汗かきな人間ではないけど、湿気のあるぬるーい空気なんて誰だって嫌に決まってる。胸元、第二ボタンまで開けると幾分楽だった。






「やべえ〜これで明後日の中間間に合うかな〜ッ?」

「本当それな。うわ、てか、ノート超綺麗……」

「ねえねえ早川さん、ここってどう解くの?」





よりによってそんなあっつい日。

はやく帰りたいのに?
どうなってんのかって?

溜息が出そうだ。だって、五限目の数学が終わって放課後になるやいなや、教科書をバッグに入れようとしていた私の席の周りに、クラスメートの男子たちが六人ほど取り囲んできたんだ。




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