ホ テ ル【完】







ふと、首元に手をやった。

────まだ、首や耳にあいつが触れた感触が残る。




じんわり、じんわりと、どうやって舌でなぶったのか、どうやって唇で弄んだのか、いやでも考えて思い浮かべてしまう。

言葉の一つ一つすらこんなに頭に焼き付いているだなんて、認めたくない。

どうせ興味ないくせに。風紀委員長だからなんとなくやってるってそれだけのくせに。私のテリトリーに土足で入り込んできて、なんなわけ。





でもそんなことを思うことすら無駄なもの。

私は、弱みを握られた。
暇潰しのための絶好の獲物、なんでしょう?


扉を閉める直前、昴瑠は私に見向きもしなかった。

ただテレビ画面を眺めているだけ。私が来る以前に吸ったのだろう吸い殻を、一本だけ灰皿に残したまま。


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