ホ テ ル 2【完】

歪曲したエデン









「俺ん家住む?」



それから私は父親を見限ってマンションを飛び出した。

もともと私の家には家族円満なんて概念は存在していない。


個人個人が好きなことを好きなようにやって楽しむ。そのくせ一丁前に世間体なんてものを気にするようなこんな家、ずっと出て行きたくて仕方がなかった。


――だから、今日、昴瑠が隣にいてくれて安心したの。




「え?」

「住む?」

「…昴瑠の、マンション?」

「そう」




閑散とした住宅街を手を繋いで歩く。

すると開いている方の手で眼鏡を正し、それとない視線を私に向けて送り付けて、




「…ま、もう向かってるんだけど」



抑揚のないトーンで無表情に口を開く昴瑠にギュウ、と胸が締め付けられた。



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