神楽さんと御堂研くん

第4章 /御堂研くん

図書室の窓から、直くんと神楽さんが2人で帰る姿が見えた。

仲良いじゃん…。
そっか。
昼休み、ずっと2人だったもんな。
そりゃ仲良くもなるよな。
でも俺、バイトしなきゃだし
家でゆっくり勉強なんて出来ないし
昼しか時間ないし
そうだよな。
それでも俺がわるいよな。
誘わなかったし
声かけなかったし
神楽さんが寂しいかもとか思わなかったし
直くんが、神楽さんを好きになるかもなんて、考えなかった俺が…



静まり返った図書室

ああ、やったな…。

俺をじっと見据える陵くんが視界の端に見える。

本当に邪魔しに来てるじゃん…

自分に呆れて笑いすら込み上げてくる。
鞄にノートと筆箱を詰める。
倒れた椅子を直し、机の下に入れる。

下を向いたままの帝ちゃんの顔を軽く覗く。
俺に気がついて顔を上げた。
ああ、無視しないんだ…優しいな。

「ごめんね」

軽く口角を上げる俺に、泣きそうになりながら笑顔を作ってくれた。

怖がらせたな、たぶん。


図書室の扉を開ける。
「っ!?」
目の前に帰ったはずの神楽さんが立っていた。
突然開いた扉に驚いたようだった。
その側には壁にもたれ、座り込んだ隼人の姿。
「…なにしてんの?」
「あ、私は、差し入れ…」
スクールバッグを肩にかけ、片手にコンビニの袋。
「…帰ったんじゃなかったの?」
「来ていいって…言ったと思った…」
慌てたように視線を彷徨わせる。
そして、困ったように、隼人を見る。

そのやり取りを黙って見ていた隼人は口を開いた。
「御堂は、けんにとってなに?家族?」
咎められていることに気がついた。
「…いとこ」
俺の答えにふーんとどうでもいいようなそぶり。

いつから居たんだろう。
聞いてたのかな。

バツが悪い。
確実に俺が悪い。
当り散らした自覚がある。

「隼人、いつからいたの?」
「結構初めから」
「…そっか」

やはりバツが悪い。
俺が悪いから。
聞かなきゃよかった。
子供と思われただろうか。

思わず頭をぐしゃぐしゃとかいてしまう。
ああ、恥ずかしい。
子供のようだ。
だめだ、帰ろう。

もういいや。

「帰る」
小さな声で言い、隼人や神楽さんを見ず足を進める。
隼人はじっと俺を見ていた。
神楽さんは少し後から付いてきた。



靴箱で靴を履き替える。
少し後ろから俺が履き終わるのをじっと待っている。
「なに?」
少し笑って聞く。
「あ、えっとー…機嫌悪い?」
予想外の発言に、は?と声が出てしまった。
「あ、ごめん。そうじゃなくて…今日は、喋れるかなって思ってたから、前はいっぱい話してたのに、最近喋ってないし…忙しそうだし…」
だんだん俯いて視線が合わなくなってくる。
俺自身が、彼女を遠ざけてたのか…。
「一緒に帰っちゃだめかな?」
無意識だろうか、ぎゅっと自身の手を握りしめている。。

俺が、こんなんだから、はっきりしないから、ぐちゃぐちゃになる。
はっきりしないくせに、こうしてほしいとか、欲を出すから感情がむき出しになる。
別に、直くんも神楽さんも、ましてや陵くんも何も悪くないのに。
俺が何も言ってないだけなのに。
嫌だって事だけ態度に出して…。


「俺、今めっちゃ嫌なやつだよ」


でもちょっと疲れちゃったんだ。
我慢するのも、いい子でいるのも。

ちょっとでいいから、誰にも気を使わず自分でいられる場所が欲しい。

0
  • しおりをはさむ
  • 8
  • 42
/ 46ページ
このページを編集する