神楽さんと御堂研くん

第4章 /御堂研くん

朝起きて、昨日を思い出し、憂鬱な気持ちと幸福な気持ちが同時に訪れた。
テスト2日目。


学校へと向かう足取りが重い。
口から出てしまったものは取り戻せない。


俺、昨日何言ったっけ…。


学校に着くと教室へは行かず、陵くんのクラスへ向かった。

廊下で誰かに後ろから肩を叩かれ、足を止めた。

「御堂、昨日…あ、ごめん、間違えた」
そして初めて陵くんに間違えられた。

え?…似てないよ?

「御堂くん?」
廊下のど真ん中で驚いてぼんやりしていると、下から声をかけられた。
「帝ちゃん」
俺を見上げる表情はいつもと変わりなかった。
「昨日はごめんね?」
「大丈夫だよ!全然平気!!」
元気だよーと拳を作る。
可愛らしい仕草に自然と笑顔になる。
「陵くん、何か言ってた?」
「んー、いや、別に…」
煮えきれない答え。

俺が何か言ってくれるまで待っていると、少し呆れたように笑った。
「落ち込んでたよ、ちょっとだけね」
「……」
「教室寄らずに、一番に来てくれてるんだもん。喜ぶと思う!」
「ありがとう」


ばいばいと手を振る帝ちゃんに手を振り返し、陵くんの教室へと向かった。


初めて寄るクラスは緊張する。
扉から陵くんを探す。
教室の後ろの方、数名と談笑していた。
俺に気づいた1人が、陵くんに知らせてくれる。
俺は知らせてくれた子に小さく頭を下げた。
「珍しいな」
「さすがにね…」
思わず目を合わせるのが怖くて俯いてしまう。
「怒ってない」
「だとしても、俺は当り散らした自覚ある。ごめん」
ごめんなさいともう一度ちゃんと頭を下げた。

「頭下げられてる。うん、いい光景だ」

は?と思って顔を上げると、優しい顔で俺を見ていた。
「え、お兄ちゃん?」
「何言ってんの、お前」
瞬時に呆れた顔になっていた。

「なあ、陵くん」
何も言わず顔だけこちらに向ける。
俺は教室に目を向けたまま話す。
「隼人にさ、お前にとって陵くんは家族か?って聞かれたんだけど」
「ああ」
陵くんも教室を眺める。
「陵くんにとって俺ってなに?」
兄弟のいない、陵くんにとって俺は弟なのか?
家族?

「いとこだろ」

そうだろ?と俺を見た。
俺と同じ答えに驚いて、俺は陵くんを見ていた。
怪訝そうな顔をする。
「え、なに?」
嬉しくなって笑った。
「なんでもない」

いとこってちょうど良い。
兄弟みたいに仲良くできても、兄弟みたいな喧嘩はしない。
プライベートがあって踏み込みすぎず、でも血縁関係があるからそう簡単に離れない。
仲が良くても悪くても、いとこだからで済まされる。

「お前はなんて答えたんだよ」
「あははは!教えなーい」
「あ、うざい」

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