神楽さんと御堂研くん

第4章 /神楽さん

教室に入ると真っ先に彼の元へ向かった。

「 けんちゃんのこと好き? 」

少し前にそう聞かれた時、私は分からないと答えた。

今ではわかる。
好きだ。

テスト1週間期間、全然喋れなくて気づけば目で追っていた。
教室から出て行く御堂くんを見て、あ、今日も行くんだって、少し落ち込んだ。
御堂くんが帝さんを好きかもしれないって思うと嫌だと思った。

手を繋いで帰って、嬉しかった。
わたし、いま幸せかもって、馬鹿みたいだけど思った。


「直くん」
「ん?あ、おはよう」
自分の席で適当にクラスメイトの輪に入って談笑していた。
私の声に振り返る。
立っている私は直くんを見下ろす状況。
少し嫌でそばにしゃがみ込んだ。

「珍しいね」
「うん、昨日、ありがとう」
帰るという直くんと共に駅まで歩いた。
コンビニでお菓子を買うのを一緒に選んでくれて、学校に戻る私に、頑張れと言った。
「あのさ、やっぱり、好きだった」
にやけそうな口元を手で覆う。
思わずそのまま俯いてしまう。
口に出すとなんでこうも恥ずかしくなるのか。
下を向いた拍子に頭が直くんの足にコツリと当たる。
直くんが少しびくっと揺れる。
「ああ、ごめん、へへへ」
顔を上げると真っ赤な顔をした直くんが見下ろしていた。

あれ…?

私、こんなに他人と近かったっけ?

なんだか自分の行動が気持ち悪く感じた。
急に立ち上がった私に少し驚いたようで今度は直くんが私を見上げていた。
えっと…なんだっけ?
頭でぐるぐる考えながら鬱陶しい髪を耳にかける。
「あの、報告!…応援してくれてたから!」
「ああ…うん」
「うん…私さつきちゃんの所行ってくる」
目を合わせず言い捨てるように言うと振り返って自分の席へ戻ろうとした。
「神楽ちゃん!」
ぱっと手を掴まれた。
驚いて足を止める。
振り返るといつもの直くんの笑顔だった。
「よかったね」
優しい笑顔に凄く安心した。

一瞬。

本当に一瞬だけ、この人、私のこと好きなんじゃないかって、思ってしまった。

不安になってしまった。


嫌だなって思ってしまった。


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