神楽さんと御堂研くん

第6章 /神楽さん

終業式。
体育館からぞろぞろと教室へ戻る生徒たち。
その中にけんちゃんの姿。
横には由良くん。

なに喋ってるんだろう。

気になりつつも遠目で見ることしか出来ない。

誰にでも声をかけられるタイプならよかったのに…。

そんな明るい性格をしてないせいで損をする。


けんちゃん、一緒に帰れたりしないかな、最後だし…。


そんなことをぼんやり思っていると後ろから肩を叩かれた。

「神楽さん、言ってた提出物、出した?」
この前声をかけてくれたクラスメイトが立っていた。
「うわあ…」
「やってないのね、その反応」
少し笑いながら呆れた口調でそう言う。
「美術だよね」
「うん。みんな授業中に終わってるのよ?」
わんさか人がいる廊下で立ち止まっているから少し鬱陶しそうな表情をされる。
それを見かねて私たちも行きましょうと促してくれる。
みんな教室に戻って終礼して帰るのだ。
否、私は帰れない。
「手伝おうか?」
「ううん、大丈夫」
「そう?私美術部だし、何かあったら言ってね?」
綺麗な笑みを浮かべながら首をかしげる姿に魅せられる。

「私、あなたによく間違えられるのよね」
混んだ階段でそんなことを言われて、驚いたように目を見開くと、隣でクスクスと笑う。
「え?似てるかな?」
「髪型と体型ね、後ろから見たらどっちかわかんないんじゃないかな?」
クスクス笑うその仕草はすごく上品。
「私は似てないと思う。佐伯さん、周りに人が集まるタイプでしょ?」
「私、神楽さんは好きよ?群れない感じが強くていいよね」
そういう風に見えるのか…。
「悪く言われる方が多い」
「そうみたいね」
笑顔のまま同意。
フォローはしてくれないようだ。
少し落ち込む。
「でも、いいと思う。潮の流れに沿って泳ぐ魚だけじゃ面白くないわ」
弾む声。
本当に楽しそうにそう言う。
「私も流されないように頑張るわね」
何がかわからないけど、力強い言葉に大きく頷いて見せた。

0
  • しおりをはさむ
  • 8
  • 42
/ 46ページ
このページを編集する