神楽さんと御堂研くん

第1章 /御堂研くん

「けん」
開けた下駄箱から上履きを取る。
視線は声をかけてきた男子生徒に向けた。
「陵くんおはよー」
眠そうに下駄箱にもたれながら欠伸をしている。
「おはよ、昼行くから」
「はーい」
手を振って答えると背を向けて去っていった。
気怠そうな背中に熱い視線がいくつか。
その背中を神楽さんも見つめている。
「神楽さんもあーゆうのが好き?」
「いや、似てるなーと思って」
「ん?誰に?」
パッと俺を見る。
「…おれ?」
コクリと頷いた。
「え?似てなくない?」
「似てるよ」
そう言うとさっさと廊下を歩く。
神楽さんの横に並び教室へと向かう。

「けんちゃん、おはよ」
席に座った直くんは既に教科書を出して勉強している。
黒い前髪がすだれのように手元を隠す。
「おはよ、何してんの?」
「テスト範囲のプリント埋めてる」
「あはは、早いなー!」
俺が笑うと、余裕だなーと呆れた顔をした。
「神楽さんと通学、珍しくない?」
「コンビニで会ったんだ」
カバンから筆記用具を出し、机の横にかける。
直くんはプリントの上に肘を乗せて頬杖をつく。
「へー、じゃー神楽さんも今日はコンビニ弁当かー」
「親子丼!」
「へー」
どうでも良さそうに視線を机の上へと戻した。
「半分こするんだー」

「…はあ?」

直くんにしては珍しい声を出していた。
俺は知らないふりしてプリントを出した。

0
  • しおりをはさむ
  • 8
  • 42
/ 46ページ
このページを編集する