ランピード・フォルス【完】

4章。蛇イチゴ /未完成なパズル




今日はミルク色のお風呂じゃなくて、ヒューが用意してくれた泡いっぱいのバブルバス。



「それで逃げて帰ってきたんだ?」


目の前で泡に包まれているヒューはちょっとだけ呆れ顔。



…そう。

私はあのあと逃げてしまったのだ。


『俺の愛人になってほしい』


今さっきの出来事だから京橋君の声もハッキリと思い出せる。

でも、あのあとの顔が思い出せない。

というか、見てもない。

何て言っていいのか分からなくて。
何か怖くて。
逃げることしかできなかった。

バイバイも言わずに京橋君をひとり残して…。



「京橋君怒ってるかな?」

「怒ってはないんじゃない」


「じゃあ…傷ついてる?」

「そう簡単には傷つかないでしょ」


「どうして?」

「肝の据わった男だと思うから」



…確かに。
普通じゃあの告白はできないよね。


「京橋君は何であんなこと言ったんだと思う?…愛人になってほしいとか」

「それ以外に手段がなかったからじゃない」

「私のこと本気で好きなの?」


疑問ばかりを投げ掛ける私にヒューは困った顔をしながら言う。

「ミモ、オレは京橋君じゃないよ?」





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