ランピード・フォルス【完】

5章。酷悪な嫉妬 /魔女の鉄則




紫と黒を基調とした私の部屋。

ここに初めてミモを連れてきた日、ミモは笑顔でこう言った。


『何かチカちゃんの部屋って魔女の館みたいだね』



分かってる。

悪気がないことは分かってる。


知ってる。

毒リンゴが似合うのは私のほうだって。


魔女はね、いつだって素直な女を憎むの。

簡単な罠にかかるような女だから陥れるの。

そういう設定なの。




黒のソファーに座っているミモは魔女が注いだワインには手をつけず、固唾を呑む。


「私の前で緊張したって仕方ないでしょ」

「緊張というか昨日からずっと胃が痛くて」

そう言って調子悪そうに胃をさするミモ。


ミモが胃痛を訴えるその訳は…。

「明日はもっと痛くなるよ。…京橋君に会うのが怖い」

昨日、ミモの職場に来た例の京橋君から“最後だから会ってちゃんと話がしたい”と頼まれたみたい。

ミモは“最後だから”という言葉に押されて明日会う約束をしてしまったとのこと。



「ミモ、人の言う“最後だから”はアテになんないよ?」

「そうなの?」

「最後にする予定ってのはたいがい破られるものなのよ。まぁ最後ってのは意志の強さを計る目安ね」




  • しおりをはさむ
  • 656
  • 30
/ 446ページ
このページを編集する