ランピード・フォルス【完】

2章。三通りの裏切り /曖昧な裏切り




「ふぇっく、しゅん!」


くしゃみをする私のおでこにヒューはそっと手をあてた。

ヒューの手のひらに伝わる私の体温は多分平熱。


「熱はないみたいだね」

「風邪じゃないよ。何だか鼻がくすぐったくて」

「誰かに噂されてるのかもね」

「悪口だったらヤダな」

「誰もミモの悪口なんて言わないよ」

ヒューは優しく笑うと私の頭を撫でてくれた。


「そんなこと言ってくれるのはヒューだけだよ。今日だって清水さんにグチグチ言われたし」

「清水さん?」

「パートのおばちゃんなんだけど、私が商品を発注ミスしたことをグチグチ言ってくるの。そりゃ私が悪いんだけどさ」


イジけながら背中を丸めた。

ヒューは「ヨシヨシ」と言いながら、あやすように私の頭を撫でる。



「失敗は誰にでもあるよ」

「そのセリフよく聞く。てことは、よく言われてるのかな。というよりよく失敗してるのかな」



よく言われてるんじゃなくて、よく言われてた。


『失敗は誰にでもあることだって。だから、気にすんな!』



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