御三家の桜姫㊤【完】

一.御三家と生徒会


「おい騒ぐなって言ってんだろ」


 もがく私の腕と口を押さえつけて、目の前の男子が忌々(いまいま)しげに呟いた。


「んー! んー!!」

「うるせぇな無理矢理黙らすぞ! 今見つかったら俺達停学にこじつけられんだからな!?」


 停学、という単語を聞いて、ぐっと押し黙る。分かったならいいと、彼は小さく舌打ちして、扉の隙間から部屋の様子を伺った。今いるのは、生徒会室の用具入れの中だ。……そう、用具入れの中。そこに私と男子が一緒に入っている。


「ったく早く出て行けよ……あと十分もしたら生徒会役員会議始まるだろ……」

「十分? 役員会議は十七時からでしょ? いままだ十六時半だけど……」

「……おい」


 その男子の頬がひきつったのが、暗闇の中でも僅かに挿し込んでくる光で分かる。


「何でだよ……俺の時計なんで止まってんだよ!」

「ちょっと大きな声出さないで! あと三十分待てば出られるんだから……」

「三十分もお前と密着するなんて冗談じゃねぇ!」

「それは私のセリフなんですけど! そんなこと言うなら離れてよ!!」

「おい莫迦っ──」


 ガンッ、と大きな音がした。私が彼の体を押して、彼が用具入れロッカーの扉に思いっきり肘鉄を食らわせたから。あ、と、二人揃って間抜けな声が出た。

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