御三家の桜姫㊤【完】

二.姫か下僕か /(二) 外か内か


 笛吹さんという三年生にちょっかいをかけられた日(私は笛吹さん事件と呼んでる)から数日後、HRで正式に文化祭についてのお知らせがされた。


 その日の放課後、早速四組の出し物についての話し合いが始まった。ただ、話し合いに参加しようにも、笛吹さん事件以来、舞浜さん達が全く私に寄りつかないようになってしまったし、事件のことを耳にしたクラスのみんなも私には寄ってこなかった。ただでさえ、桐椰くんと私の席はクラスから隔離されたように教室の隅。

 みんなはまるで何もいないかのように──否、明らかにこちらを意識してるから、君子危うきに近寄らずというほうが正しいかもしれない──私達を放置して文化祭の出し物について意見を言い合ってる。

 だからこそ、私と桐椰くんはこれ幸いとばかりに、二人でお喋り。


「へぇ、“こいこい”ね。花札分かるヤツなんていんのかな」

「え、分からないかな。私、中学で仲良かった友達が花札大好きで家族でお正月は花札賭博やってたって言ってたから覚えたんだけど」

「それはその友達が特殊じゃね? あー、でも兄貴もよくやってたな……」

「ふふ、まぁ猪鹿蝶と三光の点数は同じですけど、私がいるだけで勝ってますからね。君達は怖いものなしですよ」

「何を偉そうに言ってんだ。お前一人は零点だぞ」

「そんなこと言ったら御三家だって一人一人はゼロ点のくせに! ばーかばーか!」

「つくづく思ってたけどお前のそのキャラうぜーな」

「酷い!」


 わっ、と顔を手で覆って見せる。拍子にズレた眼鏡をくいっと持ち上げると、桐椰くんが不愉快なものでも見るように眉間に皺を寄せた。

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