御三家の幕引㊤【完】

十、その関係に名前をつけて

「総、駿哉」


 揃って顔を向けると、遼が片手を挙げて挨拶した。駿哉が奥に詰めて、遼がその隣に座る。今日は少し肌寒く、遼はジャケットを着ていた。ただ、急いでやって来たのか、頼んだ飲み物はアイスティーだった。


「久しぶりだな」

「だな。最近仕事どうだ?」

「特に変わりなし。たった何週間かで変わるもんじゃないよ、社会人は」

「なんだ、そもそも久しぶりってほどじゃねーのか」


 なんか勘違いしてたな、なんて、遼はちょっと首を捻ってみせる。でも、たった数週間ぶりに会ったのに、久しぶりに会ったような気がしているのは俺もだった。


「まぁ、俺が卒業するまでは連絡も頻繁にとってたからね。高校生のときなんてほぼ毎日つるんでたし」

「だな。よくそんなに毎日会って話すことあったよな」

「ね。何話してたんだろうね、あの頃」


 もう六年も前だね──。そう呟きながら、手持無沙汰にコーヒーカップを掴んだ。振動で揺れた水面に、自分の姿が揺蕩(たゆた)う。

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