キミとキス。【完結】

サラリーマンと女子高生 /side ハルカ

アオシさんは少しだけ怒っているように見えた。

私の腕を引いて、前を歩く広い背中は頼もしいのにやっぱり少しだけ遠い。

とても大人で、いつも冷静で。

さっきの人に怒ったのも、本当は私に怒りたかったのだと思うけれど、いろいろ気を使ってくれたのだと思う。

私はただ、アオシさんにビールを渡したら、満面の笑みで喜んでくれるんじゃないかってそればかり考えていた。

そんな顔が見たかっただけ。

そんな自分勝手な理由だけで、こんな風にアオシさんを怒らせてしまったことが情けなくて、振り返ったアオシさんの表情を見ることができなかった。


「ごめんなさい……。喜んで欲しくて」

「ハルカ…ちゃん……」


手首を握るアオシさんの力が少し強まって、ドキドキが早まった。

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