無自覚な誘惑。【完】

《第3章》不機嫌な和泉くん /傷ついてほしくない人




「静香さん!ボトル持ってきました!」



重たい白のボックスを持って、こっちに来てくれる健太くんにお礼を言う。



「ありがとうございます!そろそろ休憩入るので、配りましょうっ」

「はい!」



2つある箱をそれぞれ開けて、配る準備をした。



今日は、合宿3日目。


雲ひとつない晴天は、夏の暑さを一層引き立てている。

暑い……。


私たちを溶かす気なんじゃないかと疑いたくなるような太陽の光に目を細めながらも、一生懸命手を動かした。


こんなことでへばってちゃダメだっ……。

炎天下でサッカーをしている部員さんの方が、よっぽど大変なんだから。


昨日はあれ以来、特に何事もなく乗り切った。

和泉くんとは、初日の夜から会っていない。


一度も部屋に行っていないし、もちろん行くつもりもなかった。

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