素顔のまるⅡ

新たな愛のかたち

空は円里の親友でもある由真にメールをした。

哲が自分がいなくなることを予感していて、篠崎や陣に託し続けていたように、
由真にも毎年手紙を託し続けていた。

そのことを知っているのは由真と武蔵だけだった。

この2年、遠くからしか見守ることができない自分に苛立ちながらも、由真夫婦は度々、篠崎邸を訪れた。

篠崎や佐緒里からも度々、円里の近況を知らせるメールが入っていた。

由真ちゃんへ

空です。
こっちに来てもうすぐ2か月になろうとしています。安心してください、俺もママも元気です。
こちらに来て、円里さん状態も落ち着いて、以前のように「マルちゃんたらあ~」と、ママ本来の姿を取り戻しつつあると思います。由真ちゃん、ずっと見守っていてくれてありがとう。

今日メールしたのはこちらの報告をしたいというのもあったけど、それよりも相談があるんです。

篠崎のじいちゃんから陣ちゃんもこちらに来たことは聞いてるよね。

由真ちゃん。
ママはパパが生きていたらやり遂げるだろうことも背負って立つ覚悟でこっちに来ることを決めたのだと思います。
でも、ママは一人だから、マルルくんのことも抱えて、ママ自身のことも抱えて、俺のことも、そしてパパのことも。
ママの覚悟は凄いのだけど、円里さんとしか呼べない時の凄まじさも凄いと思うけど、円里さんのままの状態で24時間戦い続ければ、いずれママは壊れてしまいます。
今、ママが元気でいるのは、マルちゃんでいられる居場所をつくってくれている陣ちゃんがいるからです。俺には無理でした。
そして俺も、陣ちゃんの前でなら泣くことができることに気づきました。

俺は佐竹哲の息子です。
ママはパパとの出会いは奇跡で、愛し合って生まれきてくれた俺との出会いも奇跡のつながりだと言っていました。俺もそれに異論はありません。けど、陣ちゃんとの出会いもまた奇跡だと思えるのです。

俺は佐竹空を名乗りたいけれど、それは今でなくてもいい。
ママに佐竹円里でいてほしいと思う気持がないとは言いませんが、それでもママがマルちゃんになれる場所である陣ちゃんと、俺も一緒にいたい。

ね、俺、どうしたらいい?
陣ちゃんは俺のことも、哲が生きていたら叶えただろうことを背負う覚悟を決めたママのこともぜんぶ丸ごと抱きしめる覚悟でこっちに来たと最初の日に話してくれました。

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