彼がネクタイを緩めたら1st㊤【完】

俺を見て


「あ、いたいた」



え!?



顔をあげると、那智さんが私のミュールを片手に肩を上下に揺らしていた。


その表情は穏やかで。大人で。


なんなのよ。


何で私のこと追いかけてきたの。



「――返してっ!!」



那智さんの手からミュールを奪い取り、足元に叩きつける。



返しても何も、私が忘れただけだけど。


八つ当たりだけど。


体の中を嵐みたいな感情が渦巻いて、叫ばずにはいられなかった。

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