彼がネクタイを緩めたら1st㊤【完】

不幸になんかなりたくない


ほんと、何やってるんだろ……私。



そのうち、香ばしいコーヒーの香りがこっちまで漂ってくる。



いい匂い……。



顔をあげると、陶器のコーヒーカップがテーブルに置かれたところだった。



「何か入れる?」

「いえ、大丈夫です」



そっと口をつけたブラックコーヒーは、舌が焼けるほど熱くて、ほろ苦くて。


そういやトモキはコーヒー淹れるの上手だったな、とかそんなこと思い出して。



今頃前カノに淹れてあげてるのかなとか……



「――」



マグカップを持つ手が、そっと包み込むように押さえられた。

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