彼がネクタイを緩めたら1st㊤【完】

想像して


「野口君、よかったね。最高の同期がいて」


那智さんはにっこり微笑んで私たちの顔を眺める。



そしてのぐっちゃんの顔を覗きこむようにして、口を開いた。



「大きな河の流れを想像してみて」

「河?」

「そう。たとえばガンジス河とかね。せせらぎから傍流(ボウリュウ)から、その流れは星の数ほどあるけれど、最終的には大きな河に集まって一つになれる。
清らかなものも、そうでないものも、関係ない。まとめて、全部一つになるんだ。

人と人との関わりあいもそう。もう二度と交わらないと思っていても、縁があれば必ずまた巡り会えるよ。

難しいかもしれないけれど、出来るだけ自分を責めないで。ゲイである自分を嫌わないで、君を好きだと言ってくれる皆の言葉を信じて。そうしたら少しずつ、楽になれるよ」

「――い、一ノ瀬さ……ん」



のぐっちゃんは目を真っ赤にして、唇を震わせたかと思ったら、そのまますごい勢いで那智さんに抱きついていく。


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