彼がネクタイを緩めたら1st㊤【完】

オン、オフ?



「みなさんおはようございます。そして、はじめまして。一ノ瀬ホールディングスから参りました、一ノ瀬那智(イチノセナチ)と申します」



ザワッ――



空気が揺れた。





「王子様……」



私のつぶやきは、華子さんにしか届かなかったけれど


華子さんも「たまには噂も当たるんだね」なんて呆然と前を見てつぶやいていた。



ううん……違うんだよ。



王子様だけど、私はあの王子様を知っているの。



だってマイクを持ち、そつのない笑顔を浮かべて立っていたのは、


ほんの10時間くらい前に別れた、カタギじゃないに違いないって決めつけた王子様だったから。





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