じょうろ と バスケットボール【完】

合宿―2日目―





目覚ましが鳴る前に目が覚めたのは、我が家とは枕が違うせいなのか。


意外にも繊細だった自分の神経に感心しつつ、隣で寝ている千和先輩を起こさないようにそっとタオルケットをはぐった。


「んぅ、」


小さな溜め息に似た声にどきりとして隣を見下ろせば、千和先輩が寝返りを打っている。


起こしてしまったかとヒヤヒヤしたが、寝息はまた深く穏やかに繰り返されていてホッとした。


ふと、視界に入る千和先輩の目元に小さく光る粒を見つけた。

涙?


そう考えた途端、千和先輩の唇が「ヒロ……」と動いた。


それが彼女にとって、とても大切な名前なのだと、昨夜の話からも嫌というほど伝わってきた。


あのまま、泣いて寝入ってしまったのだと、千和先輩の目元に光る涙を見て思う。







昨夜――――――。


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