じょうろ と バスケットボール【完】

合宿―2日目―*side保*




明らかに、二人の間でなにかが変わった。


気のせいなんかじゃなく、空井と水瀬の間に漂う雰囲気が。


なんとなく、もどかしさを含んだ甘さとでも言うのか。


朝食の準備は、小出先輩もいたはずで二人きりじゃなかった。

あの二人の間が進展するようなイベントなんて、起こるはずがない。


そう考えていた俺の浅はかさに気付いたのは、この後の空井の態度に違和感を感じた時だった。






朝食を終えて、片付けを始めたマネージャー2人を調理室に残して俺達バスケ部員は体育館に集合した。


勿論空井も一緒に。


ストレッチをする空井の隣に行き、背中を押してやる。


「保、いってぇよ」


潰れたような声を出した空井に、悪い、と謝って隣に座った。

ちらりと顔を向ければ、屈伸運動をする空井から微かに鼻唄が聞こえてくる。


心なしか弛んだ口元。


かと思ったら、急に不貞腐れてしまったり。


らしく、ない。


……って言うか、空井がこんな顔する時は大抵水瀬が絡んでる。


今までの空井はいつでも不機嫌で、素直じゃなくて……。



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