じょうろ と バスケットボール【完】




「……花、好きですよ」


「ふぅん……」


大して興味もないような返事に落胆してしまう。


「オレ、花とかよく分かんねーから」


私の落ちた様子に気付いたのか、慌てたように弁解をした空井くんを見上げる。


そうだよね、興味のないことを好きかどうかなんて分からないよね。


「空井くんは、バスケが好きなんですよね、」


何気ない言葉だった。


バスケ部だから、そんな簡単な理由で好きだと思った私は浅はかだった。


沈んだ瞳の色、不機嫌に歪められた眉。突き出された唇。


おおよそ好きなものの事を考えている表情ではなかった。


今さら失言について訂正出来るわけもなく。


空井くんの隣で、じょうろから流れる水飛沫を見ていた。




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