世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter one /Ⅸ 揺れる気持ち








「じゃあ、行って……あれ?瞳子ちゃんも出かけるの?」



土曜日の今日。



航生くんとのデートに向かう前に、わたしの部屋まで声をかけにきてくれた、綾乃ちゃん。



「う、うん。ちょっと、遠くの本屋さんにでも行こうかなあと思って」



ちょうど、選んだ服に着替え終えたところだった。



薄手の紺のニットに、白と黒のギンガムチェックのスカート。



いつもの休日の服装と、それほどは変わらないと思うんだけど……。



「そうなんだ?どこの本屋さん?」



「えっ?あ、えっと……渋谷、かな」



とっさに、結城くんと待ち合わせた駅を、正直に答えてしまった。



「綾乃ちゃんたちは?」



「んー……まだ、決まってないの。でも、新宿かな。航生くん、行きたい店があるって言ってたから」



「そっか」



心の中で、ほっと息をつく。

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